ベッキーが憎めない。
これだけ軽やかに、華麗なまでにしたたかに生きられるというのは、関係者への甚大な迷惑は別にしても なかなかスゴイ。ここまでくると賞賛の念にも似た気持ちがわいてしまうから困る。ベッキーに引っかかった 人々にはお気の毒だが、そもそも彼女の人間性や手練手管はドビン氏のように物事の善し悪しが 見える眼を持った人ならきちんと見抜くことが出来ているわけであるし、彼女の犠牲者達はある意味 自業自得とも言える。まことにご愁傷様なのである。 頼る人とてない孤児の身のベッキーは人生の荒波を自分で生きていかなくてはならなかったのだから、 彼女の主な獲物である良家の人々が割合ころっと騙されるのもうなずける。なにせ人生経験と意気込みが筋金入りなのだ。 ただ、自分に掛け値なしに優しくしてくれたアミーリアにだけは微妙に悪人になりきれていないのも、 私がついベッキーをひいきしてしまう理由かもしれない。それにしても、初めて読んだ頃は圧倒的にアミーリアを 支持していたのに、私も年を経て人間が丸く(?)なったのか(笑)この小説は、筋立てはもちろん、当時の英国の風俗や社会背景、階級、独身女性の生き方など、興味深い 事柄が本当にたくさん散りばめられているので、そういった事にも注意しながら読むと何倍も楽しめると思う。 ヴィクトリア朝の社会や文化のおおまかな雰囲気がつかめるのでは。また、随所に現れる挿絵もとても素敵だ。
物語を読む楽しさ
「英国版・戦争と平和」と紹介されることの多い本書ですが、トルストイのそれよりは、大分気軽で読みやすいです。 ヒロインのベッキーは、のっけから、かなりのいやなやつ振りを発揮しているけれど、何故か憎みきれないし、もう一人のヒロインアミーリアは純真でけなげで、応援せずにいられません。二人の恋のお相手たちや、行く先々で出会う人々も、皆それぞれに個性豊かで、あきさせません。 長編だから、物語を読む楽しさにどっぷりつかれます。 当時のイギリスの歴史的な背景などに詳しければ、ベッキーの猛烈な上昇志向に関しても、また違った視点から理解できるのかもしれません。 作者自身による挿絵も入っているし、ストーリ展開も楽しめるし、二人のヒロインはチャーミングだし、歴史も入ってるし、本を読む醍醐味が味わえます。 たしかBBCがドラマ化しているようですが、ヴィジュアルが浮かんできやすいタイプの話なので、頭の中で勝手に、夢のキャスティングでドラマ化したら楽しそう。
岩波書店
虚栄の市〈二〉 (岩波文庫) デイヴィッド・コパフィールド〈1〉 (岩波文庫) 白衣の女 (上) (岩波文庫) デイヴィッド・コパフィールド〈2〉 (岩波文庫) デイヴィッド・コパフィールド〈4〉 (岩波文庫)
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